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ロープ式エレベーターの構造
~機械室なしタイプ~

ロープ式エレベーターのトラクション式には、「機械室ありタイプ」と、「機械室なしタイプ」があります。
今回は、このふたつのうち、機械室なしタイプの構造や特徴について解説いたします。

機械室なしタイプ(マシンルームレス)

屋上機械室が不要な「機械室なしタイプ」のエレベーターを「マシンルームレスエレベーター」と呼びます。
限られたスペースに巻上機や制御盤を設置するため、徹底的にコンパクト化された装置を採用しています。

機械室なしタイプの構造

機械室を必要としない構造にするため、巻上機や制御盤は昇降路内に設置されています。
ただし、制御盤については乗り場三方枠内や壁に設置されることもあります。

メリット
採用される巻上機がコンパクトになることで、電力消費の効率向上が期待されます。
建物の屋上に機械室を設けなくてよいので、北側斜線制限・日影規制(日影による建築物の高さ制限)の影響がなくなります。
屋上スペースを活用できるため、花壇や植栽を設け緑化できたり、防災品の備蓄倉庫を設置することも可能です。

騒音対策
昇降路内に巻上機などを設置するため、機械室ありタイプと比較して騒音の影響がより顕著に現れます。
昇降路は、人が乗り降りするかごが通る場所でもあるので、こうした騒音への対策が必要となります。

高温対策
昇降路は外気温に影響されやすく、閉ざされた空間のため、夏場には40℃を超えることもあります。
高温環境下で装置を稼働させることは、性能の低下や早期劣化を招く恐れがあります。
そのため、ファンの設置や空調設備の導入といった対策を講じることが求められます。

現代の建築ニーズに合うことから、ルームレスエレベーターの採用が増えてきています。
条件が合えば、ルームレスエレベーターへのリニューアルも可能であり、今後さらに普及していくことが期待されます。