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エレベーター快適運行の秘訣!モーターケーブル太さ選び方ガイド

エレベーターは私たちの生活に欠かせない便利な乗り物ですが、その快適な運行の裏側には「モーターケーブルの選び方」という重要なポイントがあります。特にケーブルの太さ選びは、安全性や耐久性、さらにはエネルギー効率にも大きく影響します。今回は、エレベーターのモーターケーブルの種類や許容電流、太さの選定方法、そしてもし細すぎるケーブルを使ったらどうなるのかをわかりやすく解説します。これを読めば、エレベーターの快適運行の秘訣がぐっと身近に感じられるはずです!

モーター用ケーブルの種類と許容電流について(IV線・HIV線・EM-LMFC線)

まず、エレベーターのモーター用ケーブルには代表的な3種類があります。ひとつは「IV線」。これは一般的な電力用ビニル電線で、正式名称の「INDOOR LINE」の通り、屋内用ケーブルとなります。次に「HIV線」は耐熱性が高く、熱が発生しやすいモーター回路に適したケーブルです。最後に「EM-LMFC線」はエコ電線でありながら柔軟性・耐熱性に優れたケーブルで、より厳しい環境下での使用に向いています。

ケーブルの種類によって許容電流値が異なるのがポイント。例えば同じ太さでもIV線は標準的な許容電流を持ちますが、HIV線は耐熱性がIV線と比較して高く、約30%程度高い許容電流値となっています。EM-LMFC線は特に耐熱性に優れているためIV線と比較して約80~90%許容電流値が高くなっています。そのため、使用環境やモーター電流値に応じてケーブルの種類を選ぶことが必要となります。

さらに、エレベーターは頻繁な起動・停止を繰り返すため、瞬間的な電流変動も考慮しなければなりません。ケーブルの許容電流は連続負荷だけでなくこうしたピーク負荷にも耐えられるよう設計されていることが重要です。適切なケーブル選びはエレベーターリニューアルやエレベーター新規設置時に行うことが多いですが、設置後長くエレベーターを使うための一つのカギとなります!

モーター電流値からケーブルの太さを選定する

モーターケーブルの太さは、まずモーターの定格電流値を基準に決めます。一般的にモーターの仕様書には必要電流が記載されているので、それを元に許容電流がその値以上のケーブルを選択します。ケーブルが細すぎると電流が流れにくくなり、過熱や電圧降下のリスクが高まるため、適正な太さは安全面で欠かせません。

実際には電流値に安全率を掛けて選ぶことが多く、例えば定格電流の1.25倍程度を見込んでケーブルを選定します。これによりピーク負荷時でも十分な余裕ができるため、安定した運転が可能になります。また、ケーブルの長さや敷設環境も考慮し、電圧降下量が許容範囲内に収まるよう調整することも大切です。

最近では電力損失や発熱を抑えるために、より導体構成本数が多いケーブルを選ぶケースが増えています。初期コストは上がりますが、長期的なメンテナンス費用やエネルギーロスを減らすことができ、経済的なメリットも期待できます。また燃焼した際に有毒ガスが発生しない難燃性ポリエチレンを使用したエコケーブルを選定し環境に配慮することも可能です。エレベーターの快適性と安全性、その後の環境配慮まで含めてケーブル選びは慎重に行いましょう!

もし細いケーブルを使用した場合はどうなるか

もしモーターに対して細いケーブルを使ってしまうと、まず起こるのは過熱です。細いケーブルは抵抗が高いため、同じ電流が流れると発熱しやすくなり、絶縁材の劣化や最悪の場合は火災の原因になることもあります。エレベーターの安全に直結するため、この点は非常に危険です。

また、細いケーブルを使うと電圧降下が大きくなり、モーターに十分な電圧が供給できなくなります。これによりモーターの出力が落ち、起動不良や異常振動を引き起こすこともあるのです。結果として、エレベーターの動きがぎこちなくなり、乗り心地や信頼性が損なわれてしまいます。

さらに、細いケーブルは機械的な強度も不足しやすく、振動や曲げに弱いというデメリットもあります。エレベーターは日々多くの人を運ぶため、耐久性が求められます。細いケーブルの使用は短期的にはコストが抑えられても、長期的には故障やトラブルの原因となるため、避けるべき選択と言えるでしょう。

エレベーターの快適運行を支えるモーターケーブルの選び方は、単なるケーブルの太さだけでなく、種類や許容電流、そして使用環境をトータルで考えることが重要です。適切なケーブルを選ぶことで、安全性の向上はもちろん、省エネやメンテナンス費用の軽減にもつながります。細部にこだわることで、私たちが日々利用するエレベーターがもっと安心・快適に動き続けるのです。ぜひこの記事を参考に、ベストなケーブル選定でエレベーターの未来を明るくしましょう!
マルトエレベーターでは全てのエレベーターリニューアルでEM-LMFC線を採用しております。