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非常用エレベーターとは


非常用エレベーターとは、火災時に消防隊が消火活動や救助活動を行う際に使用することを目的としたエレベーターです。
消火器具の運搬や、救助活動を迅速かつ安全に行うための特殊な機能を備えています。
建築基準法では、高さが31mを超える建物に非常用エレベーターを設置することが義務付けられています。
ただし、31mを超える部分が階段室や機械室など、人が常駐しない用途である場合は例外となります。
これは、高さ31mを超える高層部分の消火活動や救助活動が難しくなることを踏まえた安全対策です。

非常用エレベーターの構造

かごおよび扉は不燃材料で製作されており、高い耐火性能を備えています。
さらに、昇降路および機械室は、耐火構造の壁、床、天井で囲まれいます。
そのため、高温や煙の影響を最小限に抑える構造となっています。
また、用途の特殊性を考慮し、扉は破損しにくい耐久性の高い材質と適切な厚みで製作されています。

災害時の電力確保と非常運転

電力確保
エレベーターを制御運転させるためには、電力が不可欠です。
災害時には停電のリスクが高まるため、予備電源の設置が必須となります。

非常運転
消防隊が到着してすぐに使用できるよう、非常呼び戻し運転という機能を備えています。
乗場操作盤には非常呼び戻しボタンが設置されており、他の階で呼び出しボタンが押されていても、その呼び出しはキャンセルされ、非常呼び戻しボタンが押された階へ直行します。
また、かご中操作盤には非常運転切替スイッチが設置されており、非常運転時には扉が開いた状態でも目的階へ走行することが可能です。

一般的なエレベーターとは異なり、災害時の過酷な環境下でも安全かつ確実に作動するよう設計されています。

非常用エレベーターは、普段は一般の利用者が使用することは少ないものの、災害時において人命を守るために不可欠な重要設備です。