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エレベーターの構造
~安全装置について~
エレベーターの主要な構造要素の一つである「安全装置」について、書いていきます。
安全装置は、エレベーターの安全性にかかわる重要な要素です。
事故を未然に防ぐために、様々なリスクを想定し、それぞれに対応可能な安全装置を設置しています。
どのようなリスクに対応するため、どのような安全装置が設置されているのでしょうか。
非常止め装置
ロープが切断した場合、かごの降下速度が通常の速度を大幅に超えることが考えられます。
異常な速度を検知することによって、非常止め装置が作動します。
かごの降下を停止するために非常止め装置が作動しますが、装置の種類によって停止の仕方が異なります。
非常止め装置の種類と特徴
早ぎき式(はやぎきしき)
最大限の制動力で、ほぼ瞬時にかごを停止させます。
ただし、瞬時に停止させる分、かごへの反動が大きいため、この装置は定格速度(かごの昇降速度)が分速45m以下のエレベーターに限って取り付けられます。
次第ぎき式(しだいぎきしき)
制動力を徐々に高くすることで、段階的に減速させた後、一気に制動力を高めてかごを停止させます。
分速45mを超えるエレベーターには、こちらの装置が取り付けられます。
緩衝器(かんしょうき)
エレベーターには多重な安全対策が施されていて、その中でも特に事故を未然に防止するための安全装置が数多く設置されています。
それでもなお、予測が困難なリスクに備えることが重要です。
エレベーターのかごが昇降する空間は昇降路と呼ばれ、その昇降路の底面および天井面には、緩衝器と呼ばれる装置が設置されています。
万が一、かごの昇降が制御不能になった場合に備えて、かごが底面や天井に衝突した際の衝撃を緩和するために設置されています。
この緩衝器は、予測が困難なリスクに対応するための安全装置といえるでしょう。
緩衝器の種類
緩衝器には「バネ式」と「油入式(ゆにゅうしき)」の2種類があり、定格速度(かごの昇降速度)によって設置する種類が異なります。
分速60m以下のエレベーターにはバネ式、分速60mを超えるエレベーターには油入式を設置するのが一般的です。
ここで紹介した安全装置は、エレベーターに設置されている数多くの安全装置の一部に過ぎません。
複数の装置が連動して機能することで、事故の発生を未然に防ぐ構造になっています。
それぞれの装置が本来の機能を果たせるよう、定期的な点検とメンテナンスを実施することが不可欠です。