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ロープ式エレベーターの構造
~機械室ありタイプ~
ロープ式エレベーターには「トラクション式」と「巻胴式」がありますが、今回はより一般的であり、現代のビルやマンションで広く使われている「トラクション式」の構造について理解を深めていきましょう。
トラクション式のエレベーターには、「機械室ありタイプ」と、省スペース設計の「機械室なしタイプ(ルームレスエレベーター)」があります。
これらはエレベーターの設置条件や建物の構造に応じて選択されますが、今回は「機械室ありタイプ」に設置されている装置について解説していきます。
ロープ式エレベーターの構造(トラクション式 機械室ありタイプ)
機械室ありタイプのロープ式エレベーターは、一般的に建物の屋上に専用の機械室が設置されているのが特徴です。
機械室内に設置されている各装置の役割について、簡潔に解説します。
巻上機
かごを昇降させるための動力源となる装置であり、エレベーターの心臓にあたる部分です。
調速機
昇降速度を監視し、非常止め装置が作動する判断基準となる重要な装置です。
制御盤
さまざまな機器に電力を供給し、安全性や各種機能を制御する装置であり、エレベーターの頭脳にあたる部分です。
地震感知器
地震発生時にエレベーターを安全に停止させるため、初期微動(P波)、主要動(S波)を感知する装置です。
次に、昇降路内に設置されている各装置の役割について、簡潔に解説します。
ガイドレール
昇降路の両側面に設置されており、安全にかごを走行させるための各種装置を取り付けるためのレールです。
カウンターウエイト
かごの昇降を支えるための重りです。電動モーターによって駆動されるシーブの動作を補助する役割を果たします。
メインロープ
巻上機のシーブを介して、かごとカウンターウエイトを吊り下げているロープです。
ガバナロープ
調速機が監視する昇降速度の測定に用いられるロープであり、非常止め装置を作動させるために必要なロープでもあります。
テールコード
エレベーターの頭脳にあたる制御盤とかごを繋いでいる電線であり、かごへの電力供給および制御信号の伝達を担っています。
機械室ありタイプのロープ式エレベーターについて、機械室内および昇降路内に設置されている代表的な装置を紹介しました。
今回とり上げた装置は、エレベーターの走行に関連する一部に過ぎず、これ以外にも以前解説したさまざまな安全装置が設置されています。