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停電管制運転とは
2025年8月9日
エレベーターには、通常運転以外に「管制運転」と呼ばれる特別な運転モードが複数あります。
これらの機能は、非常時に利用者の安全を守るとともに、災害によるエレベーターの故障を未然に防ぐために設けられています。
今回は、数ある管制運転の中から【停電管制運転】に焦点を当て、その機能について詳しくご説明いたします。
停電管制運転
走行中に停電が発生した場合、かごはその場に停止します。
停電時自動着床装置が設置されている場合は、停止後、停電管制運転へ切り替わります。
停電管制運転の動きは、
「その場に停止」→「バッテリー駆動にて最寄階まで走行」→「到着後扉を開放」→「戸閉停止(運転休止)」となります。
その後は、停電が復旧するまで運転休止を継続し、復旧次第、自動的に使用可能な状態となります。
最寄階への移動について、もう少し詳しく説明します。
油圧式エレベーターでは重力を活用できるため、基本的に下降方向を優先します。
一方、ロープ式エレベーターでは、つり合いおもりとの位置関係が影響するため、かごが停止した位置によって動く方向が異なります。
また、扉の開閉動作はドアモーターによって駆動されるため、停電時自動着床装置のバッテリーを用いて動作させます。
停電時に利用者が閉じ込められる事態を防ぐため、停電時自動着床装置の設置は非常に重要です。
建築基準法では設置義務は明示されていませんが、近年のエレベーターにはほぼ標準的に設置されています。
バッテリーは定期的な交換が必要であるため、点検時に交換の指摘を受けた場合は速やかに対応し、非常時に備えるようにしましょう。
次回は【火災管制運転】について詳しくご説明する予定です。